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え?と、城矢が一瞬だけ俺の方をチラッと見る。
再び前を向いて運転を続ける城矢の横顔を見つめながら、俺は話を続けた。
「……俺のこと、家族に紹介してくれたこと本当に嬉しかった。ポメガのことがバレた時はマジでどうしようかと思ったけど……」
「ご、ごめん、俺がもっと上手く立ち回れば良かったよね⁉︎ 瑠璃が張り付いてたから俺もテンパっちゃって……!」
「はは。そんなこと思ってない。それに……城矢の家族になら、ポメガがバレて良かったよ」
俺がそう言ったのとほぼ同時に、車は赤信号の前でゆっくりと止まった。
しかし、車は停止したのに城矢は無言で正面を向いたままだ。
「……城矢?」
運転中だし、無理にこっちを振り返らなくてももちろんいいのだが、やけに真顔で無言なのが気になって、俺は名前を呼んだ。
すると……。
「はあ〜……今、ナナちゃんのこと、めちゃくちゃ抱きたい」
「は⁉︎」
な、何を言い出すんだ、いきなり⁉︎
「このままラブホ行ってもいい?」
「なっ、きょっ、今日は駄目! ちゃんと家に帰るまでがお宅訪問!」
正確には別に駄目ではないけど、何となく駄目な気がした。さっきまでずっと城矢の家族と一緒だったから、どうしても家族の顔が過ぎってしまう。
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