待て!

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「……とりあえず、適当に座って」 一部屋しかないアパートのため、座る場所は大体限られる。 部屋の中心に置いてあるテーブルの前に母が座ったので、俺はその正面側にテーブルを挟んで腰をおろした。 「……で、急に来たりして何の用だよ?」 「……だから、言ったでしょ。顔を見に来たのよ」 「……」 普通の親子関係なら、きっと納得のいく理由だろう。 でも、自分達の関係はそんな可愛いものではない。 異常な関係とまでは言わないが、二年間も連絡を取り合っていなかったのに、いきなり〝顔が見たくなったから会いに来た〟と言われても、戸惑うしかなかった。
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