わん

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そんな城矢に、俺は改まって……とある、お願いをする。 「あのさ、城矢……。俺がポメガだってことは、どうか他のみんなには内緒にしてくれないか?」 俺の言葉を聞いた城矢が、ぽかんとした表情を俺に向けてから、こう答える。 「ナナちゃんがそうしてほしいって言うならそうするけど……生まれつきの体質なんだから、そんな必死に内緒にする必要はないんじゃない? 寧ろ、みんなで共有した方が、自分の秘密を自分だけで抱えるより気が楽じゃない?」 優しい提案ではあるが、俺はすぐに首を横に振った。 「それは駄目だ。城矢はたまたま受け入れてくれたけど、ポメガを気味悪がる人もいるかもしれない」 「うーん、そうかな」 「頼む。みんなにこれ以上、気を遣わせたくないんだ」 俺のコミュ障のせいで、周りには既に気を遣わせてしまっている。ポメガのことで、更に余計な気遣いをさせたくはない。 「そっか。ナナちゃんがそこまで言うならみんなには秘密にしよう。……その代わり、秘密をバラさないであげる条件があるんだけど、聞いてくれる?」 「条件?」 何だよ、こいつ……。俺と友達になりたいとか言ってたくせに、秘密を握った途端、脅してくるつもりかよ。 いや、仕方ない。ポメガの件を黙っていてくれるなら、条件付きだって有難いくらいだ。 金か?手柄か? どんな条件が提示されるのか、城矢の顔をじっと見つめて待っているとーー城矢はニカッと笑って、こう言った。 「ちょっとだけでいいから、モフモフさせて!」
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