1179人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の質問に対し、母は少しの間の後、やはり小さな声でこう答えた。
「……別れたのよ」
「え?」
別れた……のは、本人同士の問題だし俺には関係ないから別にいいんだけど……
まさかとは思うがーー。
「……金、盗られたりしてないよね?」
このタイミングで俺に金を要求してくるなんて、その可能性を考えてしまった。
すると母はーー。
「……貸しただけよ。盗まれたわけじゃないから」
「なっ……。ってことは渡してんじゃん!」
別れた相手に金を渡したままなんて。返ってくればまだいいけれど、俺に金を縋るほど困っているということは、これから返ってくる可能性は低いんじゃないか?
……ていうか、俺にわざわざ会いに来た理由って、金目当てだったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!