待て!

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俺の質問に対し、母は少しの間の後、やはり小さな声でこう答えた。 「……別れたのよ」 「え?」 別れた……のは、本人同士の問題だし俺には関係ないから別にいいんだけど…… まさかとは思うがーー。 「……金、盗られたりしてないよね?」 このタイミングで俺に金を要求してくるなんて、その可能性を考えてしまった。 すると母はーー。 「……貸しただけよ。盗まれたわけじゃないから」 「なっ……。ってことは渡してんじゃん!」 別れた相手に金を渡したままなんて。返ってくればまだいいけれど、俺に金を縋るほど困っているということは、これから返ってくる可能性は低いんじゃないか? ……ていうか、俺にわざわざ会いに来た理由って、金目当てだったんだ。
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