待て!

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翌朝。少し肌寒く、天気は薄曇りだった。 昨夜はあまり寝られなかった。布団に入って目を瞑っても、母に言われたことが頭から離れなかったからだ。 それでも当然、仕事には行かなければいけない。 寝不足で頭は重いのに、不思議と眠くはない。 普段通りの時間に出勤し、ルーティンとしてデスクの上をサッと拭いてから、パソコンを立ち上げる。 「おはよう、ナナちゃん。今日も早いね」 後ろから、城矢に声を掛けられる。 いつものように、明るく声を掛けてくれた城矢。でも、ほんの少しだけ、俺の様子を窺ってくれているような声色が感じ取れた。
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