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ーー…
城矢と幸せな夜を過ごした、翌日のこと。
俺は仕事の昼休憩時間にラウンジへ向かい、辺りに誰もいないことを確認してからスマホを取り出した。
そして、少し緊張しながら画面をタップしていく。
「……あ。もしもし、母さん?」
電話の向こうの母の第一声は、【お金、振り込んでくれた?】だった。
もっと他に何か言うことないのかよ……と思わなくはなかったが、不思議と俺の気持ちは落ち着いていた。
「今さっき銀行行ってきて、振り込んできた。頼まれてた金額ほどは振り込んでないけど」
【え?】
「これで足りなければ、しばらく少しずつ仕送りするから。どうしても困った時にまた連絡して」
【……】
母は何も答えなかった。
また怒鳴って文句を言ってくるかもしれないと覚悟していたから、少し拍子抜けした。
俺がこれ以上は金を出さないってことを、母は察したのかもしれない。
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