わん

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「よし、じゃあ戸締まりして帰ろう。体調悪いだろうから家まで送るよ」 「えっ⁉︎ い、いいよ。一人で帰れるからっ……」 城矢の申し出を、俺は動揺しながら慌てて断る。お互いの家は案外近くて、方面も同じだったはずと記憶しているが、家まで送ってもらうのはさすがに申し訳なさすぎる。 しかしーー。 「一人で帰ってる途中で、またポメラニアンに変身したらどうするの? 俺と一緒なら、多分何とか誤魔化せるよ。モフらせてくれればナナちゃんも人間の姿に戻れるし、ある意味ウィンウィン?」 「う、うーん……」 ウィンウィン……なのだろうか。俺が掛けている迷惑の比重の方が明らかに大きい気がするが……。 とはいえ、街中でポメ化したら確かに困る。 俺はお言葉に甘えて、城矢に家まで送ってもらうことになったのだったーー。
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