くーん

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週末で店が混んでおり、次の予約が入っているとのことで、飲み会は二時間ほどでお開きになった。 皆で一緒に店を出たところで、俺は城矢の方をチラッと見やる。この後、城矢の家で二人で飲み直す約束をしているからだ。 職場の飲み会を〝楽しい〟と感じられたのは初めてだった。 とても楽しい時間だったけれど、これから城矢と二人きりで飲み直すというのは、それはそれでドキドキしていた。 ……いや、ドキドキはおかしいか?ワクワク、と表現すれば正しいのだろうか。 今まで、俺がポメガだということを知るのは一人の友人だけだった。 そいつ以外とこうしてプライベートで酒を飲むなんて初めてだから、楽しみだな。 「ナナちゃん」 城矢が、俺に声を掛けに来てくれた。 てっきり、このまま二人で城矢の家に向かうのかと思って「あ、えと、とりあえず駅でいいんだよな?」と返事をするとーー。 「ごめん。俺、沢田さんのこと送っていく」 「え?」 「あ、でも送り届けたらすぐに家に戻るからさ、少しだけ駅前のカフェで待っててくれないかな? なるべく早く行くから!」 「えっと……」
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