わん

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まず、顔。 俺と違って、超イケメン。 ただでさえ整った造形に加え、二重でパッチリした瞳に、長い睫毛。女性ならきっと誰もが見惚れる甘いマスクだ。 その上、スタイルも良い。手足とか、なんじゃこりゃって思うほど長くて、身長も高い。 そんでもって……服装やら髪型が、とにかく俺とは真逆の趣味。 基本的に服装は自由なこの業界。うちの事務所は橘さんの方針もあり、髪色もアクセサリーも、どんなに派手でも許される。 とは言え俺は生まれながらの黒髪で、ピアスなんて穴すら空いていないし、服装は地味なパーカー姿がほとんど。 一方の城矢は、仕事中は縛っている少し長めの金髪がトレードマーク。そして両耳にはたくさんのピアスが着いている。 洋服も、俺には絶対に似合わないお洒落な衣服を毎日サラッと着こなす。 こんな煌びやかな人間、同僚じゃなかったらかかわってこなかっただろう。 俺からしたら、城矢は異世界の住人……もしくは宇宙人だ。そのくらい、住む世界が違うと感じる。 ただ、城矢のデザインセンスは群を抜いており、若手のデザインコンテストなんかではいつも賞を総舐めしている。 城矢は、いつか橘さんに並ぶ勢いを持つ業界注目の若手デザイナーで、いつだって俺の一歩先を歩いているような……悔しいけれど、そんな存在なのだ。 ……でも、城矢に惚れた女性を頻繁にとっかえひっかえしてるという噂をネットで見かけたこともある。本当なのだろうか。本当だとしたら、とんだスケコマシだ。
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