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「そう言えば二駅向こうに美味い冷麺の店あるらしいんだけど、ナナちゃん行ったことある?」
「な、ない。行ってみたい」
「うん、行こ行こ!」
そんな会話をしながら、城矢と共に駅に向かって歩き出したーーその時だった。
「うっ……」
「ナナちゃん? どうした?」
突然、眩暈がしてよろけた。
俺はその場に立ち止まり、蹲るまではしなかったが、ガードレールに腰を預けながら右手で目の辺りを覆った。
「大丈夫⁉︎ 救急車呼ぶ⁉︎」
「い、いや、大丈夫だ」
目眩の原因は、分かっている。でも……城矢には言い辛いな……。
いずれにしろ、〝この症状〟が出てしまったからには早く家に帰った方がいいかも……。薬は持ってるけど、いまいち効かない体質なんだよな……。
「……城矢、ごめん。今日は、帰る」
「うん。本当に大丈夫? 病院とか……」
「持病みたいなものだから、家で寝てれば平気なんだ……」
「そっか。とりあえず家まで送ってくよ」
「ありがと……」
俺達はそのまま駅へと向かい、電車に乗りーー俺は城矢に自宅アパートまで送ってもらった。
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