もふもふ

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恥ずかしいけれど、その言葉はちゃんと伝えたかった。 心配して来てくれたこと、本当に嬉しかったから……。 「いつでも頼って?」 そう言って、俺を再び正面から抱き締める城矢。 気のせいだろうか。城矢の心臓の音がやけにクリアに聞こえる。 「何度だって言うけど、俺、ナナちゃんのことが大好きだからね」 「……うん。ありがとう」 城矢の言葉は、いつも甘くて優しい。胸の奥にじんわりと広がっていくから心地が良い。 その心地良さにもっと触れていたくて、俺は城矢の背中に手を回し、城矢の身体を抱き締め返した。 すると、ふと、頭に心地良い重みを感じる。 城矢に頭を撫でられているのだと、すぐに気付いた。 今は(ポメ)じゃないのに。 そう思いながらも、もっと撫ででほしくて……ドキドキしながらも、俺は城矢の腕の中でそのままそっと目を閉じたのだったーー。
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