1179人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだ、ナナちゃん! この前行けなかった冷麺の店、次の休みに改めてどうかな?」
城矢は、いつもとなんら変わらない様子で接してくれた。優しい奴だから、俺が動揺しないように気を遣ってくれているのかな、と思う……。
「う、うん。次の休みも、空いてる」
「やった! じゃあ一緒に行こ!」
「う、うん」
そう頷くと、城矢は不意に俺の耳元に顔を寄せーー小声で、こう言ってきた。
「デートのやり直しだね♡」
「な……」
城矢はパッと俺から離れ、やけに笑顔で自分のデスクへと歩いていった。
……本当に敵わない。
俺はいつだって、城矢のペースに巻き込まれっ放しだ。
でも……そんな感じも決して嫌だと感じていない自分がいるのだったーー。
最初のコメントを投稿しよう!