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自慢じゃないが…
これまでバレた事は一度もなかった。
私の存在は、周りを脅かすような印象を一ミリも与えない、地味と優等生を混合させた格好であったから、誰にも警戒される事はない……
なんて。
自分でも大丈夫と思い込んでいた。
その結果がこれとは…
「過去のものでは、パン類、お菓子、マスク、シャープペンシル。そして今回は、付けまつ毛なのね」
「……」
盗んだ品は、何でもよかった。
家庭や学校から与えられるストレスを晴らす為、何でもよかったのだ。
「警察は呼ばないにしても、親御さんは呼ばせて貰うよ?」
「…はい」
断る理由なんてない。
というか私にそんな断る資格なんてない。
覚悟の上だ。
いや、それでも怖い。
この先の親の目や周りの目が、また私を追い詰めてくるんだと思うと怖くてたまらない…!
自然と息が、荒くなる。
何で私はこんな事をしたんだ…!
バカじゃないのか!
過去に戻れるなら、もうこんな事はしないから許してくれ…!
「大丈夫。落ち着いて」
いつの間にか、店員が私の隣にやってきて、背中を優しくさすってきた。
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