変な店員

7/8
前へ
/8ページ
次へ
自慢じゃないが… これまでバレた事は一度もなかった。 私の存在は、周りを脅かすような印象を一ミリも与えない、地味と優等生を混合させた格好であったから、誰にも警戒される事はない…… なんて。 自分でも大丈夫と思い込んでいた。 その結果がこれとは… 「過去のものでは、パン類、お菓子、マスク、シャープペンシル。そして今回は、付けまつ毛なのね」 「……」 盗んだ品は、何でもよかった。 家庭や学校から与えられるストレスを晴らす為、何でもよかったのだ。 「警察は呼ばないにしても、親御さんは呼ばせて貰うよ?」 「…はい」 断る理由なんてない。 というか私にそんな断る資格なんてない。 覚悟の上だ。 いや、それでも怖い。 この先の親の目や周りの目が、また私を追い詰めてくるんだと思うと怖くてたまらない…! 自然と息が、荒くなる。 何で私はこんな事をしたんだ…! バカじゃないのか! 過去に戻れるなら、もうこんな事はしないから許してくれ…! 「大丈夫。落ち着いて」 いつの間にか、店員が私の隣にやってきて、背中を優しくさすってきた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加