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「381円になりま〜す♪」
カウンター越しにいる店員が、出された品、雑誌や飲食類の合計金額を私の耳元近くで元気よく言い放つ。
学び舎から日々のストレスを抱えて帰還してきた私からすれば、あまりにも馴れ馴れしく不愉快である。
というか。
毎週決められた曜日に入る漫画雑誌を買う日に限って、何故かこの同じ店員とよく遭遇する。
最初の頃は偶然だろうと思ったが、私が買う雑誌は祝日だと土曜に店頭に並ぶことがあって、雑誌の為、休日であろうと地味な黒ジャージを着こなして行ってみれば…あの女店員は私を待ってたかのように「いらっしゃいませ〜」とお決まりの一声と変な笑みを浮かべて終始見られる始末であった。
私のジャージ姿が変だったのか、それともあっちの方が変だったのかは不明のまま…いや、あっちが変なことには間違いない気がするが…。
まあそれはともかく、不満はありながらも気にしないようにして私はレジ袋に入れ込んでくれた商品を店員に手渡され(渡された拍子に手をベタベタ触られた気がするが)、無言のまま立ち去ることにした。
が…。
「あ、ちょっとお客様〜」
珍しくあの店員が私を呼び止めてきたのだ。
何だろう。
「何か、お忘れになっているものはございませんでしょうか?」
「……ありませんが?」
「そうですか〜」
言い終え、彼女ははにかんだ笑みを浮かべた後、
「ちょっと、奥の部屋へ来てもらってもよろしいですか?」
……
え?
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