転生とレタスと

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転生とレタスと

私ももう半世紀以上生きた 今はまだ健康だが いずれは訪れる "死" それは まだ とても恐ろしい事 それでも 避けては通れない事 きっと死の前には 想像も及ばないような とても苦しくて辛い時がやってくるだろう それをおおらかに迎えたいが そんな自信はまったくない 花が散るのも 動物が死ぬのも 生きているものが消えるっていうのは きっとそういう事なのだろう 最後の晩餐に何を食べるか? それは健康な時に考える戯言だ。 焼き肉も、天ぷらも、  鰻も、炒飯も無理だろう 私はレタスにしておこう シャキシャキで新鮮なレタスじゃなくて フランスパンの中に ハムとチーズと一緒に挟んである マヨネーズでクタクタになったレタス フニャフニャのレタス 私は転生の話が好きだ できる事ならまた人間に生まれて 悩んだり 悔やんだり 怒ったりしながら 生きてみたい それこそ がんばっている証だから 戦争が無くて アニメやゲームがあって 貧しくても 詩や絵の描ける 日本みたいな国で暮らしたい そう思えるから きっと今の人生は悪くない あと、ひとつだけ願いがある。 その 死の前の苦しみを越えた最後 透き通る気持ちでいたい 透き通る気持ちで 誰かの幸せを願いたい
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