幸せのジオラマ

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幸せのジオラマ

たとえばスカイツリーの上から 東京を見渡せば ガラスの床から見下ろす脚元から東京湾まで 群馬や山梨の山の中まで リアルなプラモデルみたいな建物が 隙間なく建ち並ぶ こころなしか 青い空まで魚眼レンズで覗いたように 風景を演出してる その建物には無数の窓があり そこに蟻のように忙しなく動く人がいて 高速道路を走る自動車は 詰まり気味の血管みたいに動いている 重いドラマもあるだろうし 軽い諍いもあるだろう さまざまな思惑や挫折もあるのかもしれない ここから見れば それはとても些細な振動でしかない むしろ 振動ですらない 人はちっぽけだ これだけ動いてこれだけの振動 だけど あの小さな窓のほとんどに 小さな幸せが詰まってる それはそれで 偉大な事 その幸せに交われない者もいるだろう そこに入れなくても 腐る事はない この風景を共有すればいい 平安は静寂の中に訪れる 些細な振動から 自分を解放してやろう
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