① プロローグ

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① プロローグ

ボクは 田園風景に広がるオレンジ色の夕焼けを背に 雨に打たれていた。 ほんの何分 いや何秒単位の雨足に 身動きが取れず 立ち尽くすだけ。 その後に訪れる静かな虫の音や蛙の鳴き声。 ボクに打ちつけたあの夕立ちは 幻にすら感じられ 目の前にある畦道にできた水溜りを わざと避けずに歩き出した。 ピシャピシャと音がする。 買ったばかりの白いスニーカーに 水が染みていくその不快な感じで これは現実だったんだと理解した。 その頃には既に薄暗く 遠くに微かな夕焼けの残りがある。 まるでボクを表してるようだった。 燦々と晴れ上がった日に そして訪れた夕立ちと静寂。 なかなか消えようとしない夕焼け。 その後にやってくる暗闇。 17歳のボク。 晩夏に良くある 何気ない時間経過と自然現象。 それが ボク自身の事を投影しているようにしか感じられなかった。
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