4人が本棚に入れています
本棚に追加
① プロローグ
ボクは
田園風景に広がるオレンジ色の夕焼けを背に
雨に打たれていた。
ほんの何分
いや何秒単位の雨足に
身動きが取れず
立ち尽くすだけ。
その後に訪れる静かな虫の音や蛙の鳴き声。
ボクに打ちつけたあの夕立ちは
幻にすら感じられ
目の前にある畦道にできた水溜りを
わざと避けずに歩き出した。
ピシャピシャと音がする。
買ったばかりの白いスニーカーに
水が染みていくその不快な感じで
これは現実だったんだと理解した。
その頃には既に薄暗く
遠くに微かな夕焼けの残りがある。
まるでボクを表してるようだった。
燦々と晴れ上がった日に
そして訪れた夕立ちと静寂。
なかなか消えようとしない夕焼け。
その後にやってくる暗闇。
17歳のボク。
晩夏に良くある
何気ない時間経過と自然現象。
それが
ボク自身の事を投影しているようにしか感じられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!