★夜伽

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★夜伽

わざわざ言わなくてもいいことばかり口にするこの男に私は惚れている。 「凛花は後ろからがすきだな」 耳元で囁かれる意地悪な感情と、言葉の意味にぞくっと身震いする。青の枕に顔を埋めて彼の動くがままに奥を突かれる快感を噛み締める。声出して、濡れてる、かわいい、愛してる、静かに、彼の言葉が薪という燃料となって私という暖炉は燃え上がる。 言葉で欲しいのに、言ってと言うには恥ずかしくて言えない私の意中を見事に読まれてる。そして対応してくれている。生活の中では思わないが、身体を重ねていると時折そんな瞬間を感じる。 喘ぎ声を開放すると不思議なことに気持ち良さがスパイラルで増えていく。言うこと、自分の声を耳で聞くことが掛け算になっているのだろうな。 あ、いっちゃうかも、と絞り出して、達した。いつも思う。何処に行くのかと。 行く、と言うより、自分の中で爆発するイメージの方が正確だ。自分がバラバラにぶっ飛んでしまいそうな感覚。 些細な違和感を感じながらも、妥当な言葉が無いので、今日も行くを使う。
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