始まり

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紫にしたい。 †混ざり合って紫になりたい青の私と、赤でいたいあの人の物語† お題1.始まり 2006.January,RinkaFujiwara 「ふじ、来年3人入るらしいで!」 彼女のクラスの子ども2人を引き連れ、うちの1歳クラスにゴミ回収に来てくれた最後に、付け足すようにぽろっと漏らした。 「え、3人も?!大人だよね?」 思わずドア横の窓から顔を出して、かじ先生の言葉に飛びつく。 「そう。ほんでメンズも一人いるって。やから、3歳にメンズ、乳児に2人ちゃうかな」 「えっ、じゃあ私メンズと組むかも?」 去年から保育士として働き始め、去年も今年も1歳、来年度は初めて担任した子どもが3歳になるから、3歳クラスに希望を出していた。 「うちはそう踏んでるー」 「えっ、やだ」 初めての幼児クラス。初めてのリーダー。初めて尽くしで頑張って手を挙げたのに、新人と一緒?ましてやメンズ。一人っ子で、女子高女子大、職場は保育園と女子にまみれてきたので、男子とコミュニケーション取れる自信がない! 率直に1つ上の安心できる数少ない相手のかじ先生に話した。 「男子とか女子とか言う前に保育士やから!大丈夫!」 正論を言われ、 「そりゃそうだけどっ!でもさぁ」 落ち着かない心の正体はなんだろう。 「まあこれはあくまでうちの予想やし」 「そうだけど、3人入るんだったら0か1か2か3歳でしょ。4,5歳一人担任だから!可能性高いじゃん」 「実際は2月末までわからんねんから、心構えだけしておいたらええやん。おみくじと一緒やし」 人事はおみくじ。 「おみくじっ!確かに。自分で結果を決められなくて、年に一回。でも、そのおみくじで1年長い時間一緒に過ごす人が決まるんだよ?そんなのおかしくない?」 「希望を聞いてくれるのはまだ救いがあるやん。特定の誰かがいつも笑うばっかの人事よりは、拾えるだけの希望を混ぜて決められた人事のが平等ちゃう?他園の友達は自分たちで決める方式やけど、結局保護者や子どもが大変なクラスはなり手がいなくて、シーンってずっとなって、誰かが自分がいかなきゃって折れてなるらしいで。そんなん結局、優しい人の負けやん。それやったら上から決めて、できるだけ平等に負担がいくようにしてほしいわ」 「へぇ、自分で決めたら後悔がなくていいじゃんって思ってたけど、そういう負の面もあるんだね……。うん、まずは念願の3歳だったらそれでいいかな、って気がしてきた」 「そうそう、悪いとこ探すんやなくて、良いとこ見ないとな!」 完璧な、皆が望む人事って、無いんだな。そりゃそうだ。人は違う、皆、違うんだもんね。 ・ ・ ・ 完璧な彼女、完璧な保育士、完璧な先輩・後輩・同僚、ありもしない幻を、いつもどこかで求めている。そんなものないのにね。無いと知っているから余計に望んでやまない。私は何が足りないの?何に飢えてるの?どうしたら幸せになれるの?同じことを考えていても事態は変わらない。 凛としたい。29.痛い立ち位置
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