魚屋の看板猫

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この街の商店街の魚屋、紅市場にはたまという、三毛猫が暮らしている。 お魚が大好きで、たまを見るためだけに、遠くから訪れる客もいるほどだ。 私は、そんなたまに興味を持って、紅市場へと取材に来ていた。 「いらっしゃい!よく来てくれたねぇ!たまの取材だって!たまさぁ有名になったねぇ」 と魚屋の女主人が答えてくれる。そして気ままに「にゃ~!」と鳴くのはこの店の看板猫たまだ。今日は取材のため休みの日に開けてもらっている関係上、女主人とたまと私以外は誰もいない。静かな商店街になっていた。 「まず最初にたまとの出会いを教えてもらえますか?」私は聞いた。 「たまは元はうちの泥棒だったんです。お魚くわえたどら猫。」と昔ばなしとして笑い飛ばす女主人。「そんでねぇ何度も攻防戦を繰り広げましたねぇ」笑みを絶やさない女主人。「それでそれでどのようにたまはこの店の看板猫になったんですか?」とさらに問いかけて、「それでちょいと、その店で買った魚を上げる人がおりましてねぇ、真似してお上げてみたら懐いてしまってねぇそこから数回上げたらはもうたまは居候し始めたわ」と。「ではたまがこんなに人気になるのは予想外だったんでしょうか?」「ですねぇ予想外でしたよ確かに身綺麗にはしましたがそれでもえんどはるばるきよった方まで出るのは予想外でしたねぇ」といったところでたまが私の目の前にやってきた。「たま撫でてほしいんでしょうねぇ」と言われ私は少したまを撫でた。ゴロゴロと喉を鳴らし喜ぶたま。 「やっぱりたま人気は人懐っこさからでしょうか」と私はこのたまを見て納得する。とにかく癒やされた。 それから少しのインタビューを続け、商店街にある魚屋紅市場の【看板猫たま!】元はドロボー!という記事を私は出した。たまの愛くるしさとたまが元ドロボーというエピソードもあってサイドビューは上々。 後日談。紅市場にはさらに人が集うようになりましたと女主人からお礼のメッセージも届きました。
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