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下手くそな真似事を披露したと思うと、いっそう恥ずかしかった。
先輩なら、きっと、ぐうの音も出ないくらい、きちんと詰める。もしくは、あの凛とした雰囲気で、そもそもこんな事を言わせない。
学年対抗のディベートで発言する先輩はいつだってそうだった。私にはできない。できないなら、真似なんかするんじゃなかった。
惨状に気づいた母が止めに来るまで、おじさんの話は続いた。
更に最悪なことに、帰り道、母に謝られてしまった。
──ごめんね亜香里、勉強大変なのに、家のこともやらせちゃって。お母さんも頑張るからね
この手の約束は守ってもらえた試しがない。いつものことだ。
──大丈夫だよ、平気、平気
それ以外、何が言えただろう。
びゅうびゅう寒風が吹く中、私たちは電車に乗った。
母は、このあと正月勤務だった。並んで歩く母から、あんまり無理しないでね、とか、応援してるね、とか言われて、やっぱり返す言葉を見つけられなくて、うん、と頷いた。
洗濯機がピー、ピー、と音を立てる。
私ははっと我に返った。
いつのまにか、リビングでうたたねをしていた。
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