ぼくのすきなひと

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「水島先生こそ」 「ご忠告ありがとうございます。まだまだ新米教師なので、諸先生方や生徒たちの協力を得て、立派な一人前の教師になれるよう精進して参りますね。では、早速授業の準備がありますので失礼いたします」  不気味なくらい満面の笑みを浮かべた藤ヶ谷に、勝るとも劣らない笑みを浮かべた愁が、蓮の腕を引き先を促す。 「ほら金谷、行くぞ」  成すがままに腕を引っ張られた蓮は、愁のあとへ着いていく。  職員室のある二階はとうに過ぎ、気づけば一般教室のない四階へと二人は向かっていた。  日頃、移動教室でしか足を踏み入れないフロアは全体的にどこか埃くさく、湿っぽく、辛気臭かった。 「、どこ行くの?」 「資料室」  ずんずんと突き進む愁が目指すのは校舎北側、一部の生徒たちの間で有名な一番外れの教室だった。 「……え? ちょっと待って、愁ちゃん意味わかってて資料室向かってるの? それともガチで、ホームルーム前に資料を求めに向かってるの?」  うろたえる蓮には応えず、愁は資料室の前まで連れてくる。  着いた瞬間、愁はまるで投げ技を決めるかの如く蓮を室内へ投げ入れた。  今朝に続いて、本日二度目だ。  だが、今度は上手に受け身を取る。  すると、そのうえに愁が馬乗りになってきた。  予想外の展開にこれまた本日二度目、蓮の雄が一気に熱を帯びてくる。 「ばぁか。俺ン家で抜いて来なかったのかよ」  意地悪そうに蓮の上で笑ってみせた。  その顔がとびきり可愛く思えて、よりいっそう蓮の熱は硬く大きくなった。
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