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目線を下げると、大きなガラス張りのカフェが目に入った。
店内の明かりが、外を行きかう人々を照らしてよく見える。
その中に、外壁に吊り下がったアンティークライトに照らされている女が一人。
雨が酷くなってきたが、それでも女はびくとも動かない。
待合せか?と首をかしげ、しばらく目が離せずに眺めていた。
肩まである、ふわりと柔らかそうな髪を右耳にかけ、長めの前髪から覗く大きな瞳。
唇は、ぷっくりと可愛らしく見えた。
両手で傘を持っている足元は、もう濡れているだろうか。
モスグリーンのようなアンサンブルに、白色のフレアスカートから見える細い足首。
今日は気温も低く、かなり寒そうに思えた。
しばらくすると男が近づいてきて、その女の前で立ち止まった。
男の後ろ姿を見ると、背は俺と同じぐらいか俺より高く見える。
やっとお迎えか? もう、びしょ濡れだろうな。
そんなことを思いながら、琉星のことも忘れてずっと見続けていた。
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