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「よっ!ごめん、ごめん!」
勢いよくドアを開けながら、やけに明るく声をかけられ思わず声が出た。
「おっせぇよ」
不機嫌さ全開で早く乗れよと、クイッと顎で合図をした。
びしょ濡れの傘を閉じて乗り込んできた琉星を見ると、駅からすぐのここへ来るだけで、肩や靴までずぶ濡れだ。
「悪い、遅くなって」
相変わらず、悪びれる様子もないことがいちいちムカつく。
「なにやってんだよ、人を呼びつけておいて。すぐそこなんだから、自分で行けよ」
「だって、雨がさぁ」
「いや、違うだろ?あんな賑やかそうなところから電話してきて」
横目で睨みつけて言うと、琉星は観念したように呟いた。
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