新宿区西新宿新宿署の刑事とマトリ

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180センチ超えの西と並んでも劣らぬ背丈で、彫りの深い俳優顔に、穏やかな笑みをたたえている。 「普通に暮らしてて、個人でそんな機能使いませんよ。企業なんかだと、便利に感じるものですが…あ、改めまして、厚生労働省麻薬取締官の御所です」 「ご丁寧にどうも…、新宿署の西です」 東谷達も続けて自己紹介を交わす。 お若いのに警部なんて、あ、キャリア、あ、東大!凄いですね!と一連の感想を頂戴したところで、西は改めて、御所に今回の捜査への協力に対して礼をした。 「この度はご協力、本当に感謝します」 「いえいえ…しかし、大変な事件になりましたね」 「全くです。事件なのか事故なのか…どっから手を付けるか…ネットだとテレグラムに流れていたとするとやり取りは確認できないし…」 「私達もそこに苦慮してるんです。…個人は本当に追いづらい。大体、国内で薬物の価格は上がり続けているんです。覚醒剤なら約3倍、末端価格はそれ以上でしょう。なのに売れている…これは、大麻や新型ドラッグと言ったゲートウェイドラッグが10代、20代に蔓延しているからです。そこからLSD、コカイン、覚せい剤と、プッシャーに勧められるままにエスカレートしていくんですが、これらは全てインターネットの普及によって、より安易に、スピーディーに進んでいるのに、こちらは地道な捜査以外に方法が見つからないという…」 はあ~~~~やっぱり……と、4人は一気にため息をついた。 「しかし、新型ドラッグとか、脱法ドラッグって、次から次へと出てきますよね…今回の事件もそれが絡んでるのか…まあ、科捜研の解析を待って…」 腕を組みながら考える西に、これ以上言うのも申し訳ないけど…というように御所が 「今回、その可能性はあるかもしれませんが…おそらく明確な毒物や成分が出るか…可能性は低いかもしれません」 「えっ?!日本の科捜研ですよ?」 「…そのぐらい、薬物、毒物は無数に世界に存在するんですよ。ケミカルだけじゃない、植物性や動物、虫…ありとあらゆるものに。もし、新型ドラッグ絡みだとすると、今回微量の大麻に海外から調達した天然ハーブを混ぜていたり、香料なんかも混ぜて…」 「…と…すると…」 「つまりそれは…」 もう言わないでくれ、と思いながらも、聞かずにはおれず、西と東谷は話を促す。 「作ってる方も、売ってる人間も、正直それが何かなんてわかってないでしょうね…」 ですよね…… そうなりますよね…… 4人は折れそうなほど首を項垂れた。
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