笑 TIME!

11/13
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 それからは、俺さえ知らない昔のギャグで竹田工場長の独壇場だった。  もう勘弁してくれと、竹田工場長を追い返し、一息つくために『クマんちょ』と紅茶でティータイム。  みんなでティータイムなんて、いつぶりだろう。  笑平も『クマんちょ』を美味しそうに食べている。 「谷口、このお菓子……いくつか土産に持って帰っていい?」 「もちろん!笑平のおかげで、山積みの難題にもみんなで乗り越えていけそうだ」  すると初めて──初めて笑平が笑ったんだ。  とても良い笑顔で、見惚れてしまうほどの。  なのに。 「だっちゅうの!(パイレーツ)」  それがお別れのギャグだった。  結構エロ神様疑惑。  笑平は薄くなり、見えなくなった。  笑平のだっちゅうのポーズは、この後にヒットする『笑神チョコ』に活かされる。  笑平がいなくなっても、職場の雰囲気は元に戻らなかった。  それどころか、ますます楽しく仕事が出来ている。  そりゃあ、ギャグがスベるなんて日常茶飯事で、スベったらスベったで、誰かがリカバリーする。  そんな松竹梅製菓の噂を聞きつけて、テレビが取材に来た。  面白い社風の松竹梅製菓。  俺達、お菓子以外をヒットさせてしまったみたいだ。 「Oh!モーレツ(小川ローザ)」  社長だけが大喜びで、社長のギャグには日本昔ばなしの竹田工場長が大喜びで。  俺達は悔しくて、ヒット商品開発を日夜頑張っていた。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!