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それからは、俺さえ知らない昔のギャグで竹田工場長の独壇場だった。
もう勘弁してくれと、竹田工場長を追い返し、一息つくために『クマんちょ』と紅茶でティータイム。
みんなでティータイムなんて、いつぶりだろう。
笑平も『クマんちょ』を美味しそうに食べている。
「谷口、このお菓子……いくつか土産に持って帰っていい?」
「もちろん!笑平のおかげで、山積みの難題にもみんなで乗り越えていけそうだ」
すると初めて──初めて笑平が笑ったんだ。
とても良い笑顔で、見惚れてしまうほどの。
なのに。
「だっちゅうの!(パイレーツ)」
それがお別れのギャグだった。
結構エロ神様疑惑。
笑平は薄くなり、見えなくなった。
笑平のだっちゅうのポーズは、この後にヒットする『笑神チョコ』に活かされる。
笑平がいなくなっても、職場の雰囲気は元に戻らなかった。
それどころか、ますます楽しく仕事が出来ている。
そりゃあ、ギャグがスベるなんて日常茶飯事で、スベったらスベったで、誰かがリカバリーする。
そんな松竹梅製菓の噂を聞きつけて、テレビが取材に来た。
面白い社風の松竹梅製菓。
俺達、お菓子以外をヒットさせてしまったみたいだ。
「Oh!モーレツ(小川ローザ)」
社長だけが大喜びで、社長のギャグには日本昔ばなしの竹田工場長が大喜びで。
俺達は悔しくて、ヒット商品開発を日夜頑張っていた。
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