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従業員たった50名の小さなお菓子メーカー。
試行錯誤を繰り返し、10年前に商品開発したチョコレート菓子『クマんちょ』がヒットして、何とか倒産を免れている。
この『クマんちょ』を開発したのが俺、谷口大輝50歳のちょい悪オヤジ風のイケオジだ。
ギャグ大好き、笑わせる事にこだわる陽気な人間だ。
昔は──なんて言うと、最近の同僚達はシラけた顔で無視するけど、無理もないか。
万年平社員の俺だから、同僚はみな年下ばかり。
あ、上司も年下だった。
なんで、そうなるの!?(コント55号)
今日も、停電なんかにめげずに頑張ろうや!そんな気持ちで笑わせに行ったけど、実際はこんなもの。
停電が復旧して、ようやくみんなが仕事モードに入った頃、俺は欠勤している山田の代わりにクレーム処理を担当した。
苦手なんだよ、クレーム処理は。
だって、どうしてもギャグを言いたくなるからさ。
1年前くらいだったかな、誠心誠意の平謝りのおかげでクレームが収束しかけた時、つい気が緩んで言っちまったんだ……。
「これからは、お客さんの立場になって価格、味、品質、それと添加物やアレルギーもな、気を配った商品のみを売り出せ!わかってくれたな?」
「どうも、すんずれいしました(加藤茶)」
会社に怒鳴り込んできたクレーマーに、社長が土下座してようやくおさまった。
ドラマを見ているようだった。
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