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真夜中の神社、俺とお爺さんは膝を突き合わせて話をしている。
幽霊か悪霊かと怯えたが、このお爺さんは偉〜い神様らしい。
神様チャンネルで再放送されていたSー1グランプリを見て笑い過ぎ、足を踏み外して下界に落ちて来たらしい。
自称、笑いの神様笑平。
笑いを司る神様なのに、無愛想で不機嫌な顔をしている。
「落ちて来た事情はわかりました。まぁ、見なかった事にしますからすみやかにお帰り下さい。では」
俺が立ち上がると笑平も立ち上がる。
歩き出すと笑平も後を付いてくる。
「ちょっと、ちょっとちょっと!(ザ・たっち)」
笑平は相変わらず難しい顔で、俺の放ったギャグにクスリともしない。
ホントに、笑いの神様なのか?
「谷口とやらの笑いは、緩急、キレ、余韻がダメー!!(トムブラウン)使用するギャグが泣いている」
……ダメ出ししやがった。
しかも、キレはわかるが緩急とか余韻とか、お笑い芸人じゃあるまいしだよ。
「そうだろうか?そんな心持ちだから職場で笑いを取れず、嫁も取れず、後輩が次々とトツギーノ(バカリズム)」
クッソー!勝手に心を読んで、痛いところをうまい具合に被せてきやがる。
笑平、悔しいけどやはり神様なんだな。
眠くなった、疲れたと駄々をこねだした爺──笑いの神様笑平を、俺は一晩泊めてやる事にした。
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