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早朝、目覚ましの音が鳴っているのはわかっているが、眠い。
──後、5分だけ……。ん?何の匂いだ……。
「かーいわれ巻き巻き(とんねるず木梨)。巻いて巻いて〜」
笑平か。
エプロンつけて新妻気取り。
サラダはカイワレ大根か。
「一宿一飯のお礼。カイワレサラダ、トースト、ハムエッグ。欧米か!(タカアンドトシ)」
神様の力なのか、普通のメニューなのにすごく美味しい。
眠気も吹き飛び、仕事への意欲がどんどん湧いて来た。
「ごちそうさまでした。俺は今から仕事に行くけど、笑平はどうする?」
「もちろん、付いて行く」
そんな感じはした。
だって、髪型をやたら気にしてドライヤーしているから。
「笑平の姿って、他の人にも視えるのか?」
「丸見え。でも、いちばんのオシャレって裸だと思うの(ロバート秋山)」
笑いの神様に朝も夜も関係ない。
いつでも全力投球だ、ウザいくらい。
「仕方ないから、姿は消しといてやる。考えるな!感じろ!(ブルース・リー)」
隣に笑平を引き連れて、俺は松竹梅製菓へ出勤した。
笑平は物珍しそうにあちこちフヨフヨしていたが、1時間くらいで飽きたのか、俺の目の前に居座り喋りかけて来た。
新商品開発に忙しいと小声で叱っても、お構いなしに喋っている。
──貧乏な会社だな。あの隅っこに貧乏神が居座っている。しもしもー?(平野ノラ)
チョッカイを出された貧乏神は、居心地悪そうに貧乏ゆすりしているらしい。
やっぱり我社には、貧乏神がいたんだな。
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