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「谷口、そろそろギャグでもブチかましてやれ。ここの職場は辛気くさい」
そうだけど。
赤字続きの松竹梅製菓、俺の新商品に社運がかかっている。
お願いだから静かにしてくれ、邪魔するなよな。
──その新商品は失敗する。責任者出てこーい!(人生幸朗・生恵幸子)ざんねん!(波田陽区)
ざんねんとまで言われたら、黙ってはいられない。
「ちょっと、何言ってるのかわかんない(サンドウィッチマン富澤)」
ノッてしまった……。
急に大声で叫んだ俺は、また同僚達から白い目で見られるんだ……勘弁してくれよ笑平。
ため息をつきながら顔を上げると、前のデスクからクスクス笑いが聞こえてきた。
まわりを見回すと、みんな口元が緩んでいた。
「これが笑いの神の実力なり」
笑平は立ち上がり、杖をグンと前に出した。
「笑 TIME!」
笑いの神様が側にいると、俺の放つギャグも面白く聞こえてしまうのか?
凄いな笑平。
しかも笑TIMEって、大リーグで活躍中のあの人もびっくりな、パクリじゃないか。
俺はなめていたんだ、笑TIMEを。
笑いの神様の笑TIMEってものを。
俺の挨拶代わりのギャグが初めての爆笑を勝ち取り、普段はギャグを言わない奴等がツッコミ、ボケる。
午前中から、社内が明るく楽しい雰囲気を醸し出している。
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