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「谷口さん、新商品開発どんな感じっすか?俺の考えたアイデア、見てもらえます?」
普段は舌打ちが返事代わりの高橋が、積極的に絡んでくる。
それを見ていた事務の舞香ちゃんまで、グミの新商品アイデアを俺に相談してくる。
「舞香ちゃん、事務の仕事の傍ら新商品まで……」
舞香ちゃんは、俺の背中をドンと叩いて笑いながら言い放つ。
「ちっちゃいことは気にすんな、それワカチコワカチコ(ゆってぃ)」
う、うん。かなりエッジの効いた使い方だね。
笑平はというと、無愛想に呟いている。
「ナイスですね〜〜(村西とおる)」
あちこちから笑い声が聞こえる松竹梅製菓始まって以来の変事に、アイツがやって来た。
笑わない男、工事長竹田剛だ。
冗談も通用しない頑固おやじ。
口癖は『昔は昔は』で、陰のあだ名が『日本昔ばなし』または『坊や・良い子だ・ねんねしな』と、多岐に渡る。
「おいっ!笑ってる暇があったら、さっさと新しい商品を作らせろや!谷口は遅いんだよ!」
名指しで怒りの一点集中、あざーっす!(アンタッチャブル山崎)
竹田さんって、怒鳴って自分を大きく見せるタイプなんだよな。
──谷口、このタイプにはアレ。アレで果敢に攻めるべし。ほれ、ラブ注入(楽しんご)。
肝心な部分がアレで、いらないラブを笑平から注入された俺は、工場長竹田と睨み合う。
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