二人の行方

妻

妻もまた10万人に一人の顔に生まれつきアザがある病気だ。妻は旦那と違ってクズではない。大学もちゃんと出ている。家柄も中流家庭で何不自由なく育った。しかし妻には幻聴がやたら聴こえる。また妻が心から思った事は全て現実のものになるらしい。
例えば、高校生の時に、ふと、《働かなくても生活できるようになりたいな》と思ったらそうなっている。また、《世界中マスクつければいいのに》と思ったら、コロナウイルスで世界中がマスクをつけるようになった。妻曰く、ふと思ったことは誰でも叶うようになってるらしい。
また幻聴が聞こえる以前、ふと《テレパシーが使えたらどんなかんじなんだろう》と思ったらしい。それが原因なのか22歳の時に幻聴が聞こえてくるようになったみたいだ。実際、友人の幻聴が離婚した事実と時期が合っているし、義兄夫婦の幻聴が子供を授かった時期と事実が合っていることがあった。妻曰く、相手と離れていても自分に対する気持ちや会話がフッと聞こえてくるみたいだ。妻曰く、普通の幻聴は悪口とかだが、良い事や悪い事なんでもも聞こえてくるらしい。なので、妻はSNSが苦手だ。知らない人達からの幻聴が増えるからだ。今はネットワークがなくなくなればいいのにとさえ思ってるらしい。
妻は自分の心の中が伝わるのではという症状もある。これはさすがに心身ともに疲れるらしいので、薬は欠かせない。この病気で対人恐怖症や被害妄想またパニック障害がある。
また、妻は集団ストーカーにあい、一人暮らしの時は散々辛い経験をして苦しんだみたいだ。その経験が今でも被害妄想になって引きずっている。
妻にはまだ病気がある。自閉症スペクトラム障害アスペルガー症候群だ。小学生の時から高校まで休憩時間も自分の席に座って過ごしていたらしい。また妻はちょっとしたことでキレやすく、特に目上の人や異性には厳しくものを言う。キレると人格が変わる。妻曰く、誰でもキレるとコワいらしい。
妻は少し霊感があるみたいだ。金縛りになり黒い髪の白い服を着た人がぐるぐると壁から天井へと歩きながら近付いてきたらしい。が、勢いで金縛りを解き、その場を逃げたらしい。またある時は、台風直撃中に散歩していたらマンションの下に人が見えたらしい。翌日そのことを話すと、マンションで飛び降り自殺があったらしい。結婚してからも、夜中眠っている時、ふと目を開けると目の前にニヤニヤとした男性が見えたらしい。これもまた不思議ではあるが、仲良かった60代の女性の幻聴が『もういくね』と聞こえた後、母親からその女性が亡くなったとわかったらしい。妻曰く、霊感なんて誰でもある、そうだ。こんな二人が出会った。