落ちてきた数字

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 あの日を境に僕たちの生活は変わってしまった。僕たちはスコアを取ることに必死になった。どうしてあんなものが落ちてくるのか。そんなことはもうどうでも良かった。ただ僕たちは、自身が高スコアとなることを目指して、少しでもスコアを伸ばそうと空を見上げるようになっていた。  以前の僕たちを縛っていたものは、学歴だった。人よりも高水準な生活を送ろうと思ったら、学歴が必要だった。大学を出ていることが当たり前の水準で、大学の偏差値が高ければ高いほどに、その後の収入に影響を及ぼした。  大学卒業者と言えどそのレベルはピンキリなのだが、それでも大学の下位学校にあたる高校卒業者よりは、Fランクと言われるいわゆる「誰でも入れる大学」を卒業した者の方が生涯年収は高かった。個々の能力は高卒者の方がどれだけ上でも、大卒者の学歴にはかなわない。  世の中は学歴社会だった。ランクとしては、大学を卒業した者を平均水準として、以下、専門学校で専門的な知識を学んだ者、高校を卒業した者、義務教育課程まで終えた者と人々のランクは下がっていく。さらに、それぞれの学歴においても、偏差値があり、最終学歴に到達するまでにどのような学歴変遷をたどっているかによって、人々はそれぞれを暗黙のうちにランク付けしていた。
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