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数字がいつもよりも大きい。数字の値がではない。そのサイズだ。いつもならばサッカーボールほどのサイズのはずだが、今は、それよりも大きく見える。しかも数字たちはまだ空のずっと高いところにいるのだ。それでいつもよりも大きく見えるということは、僕の目の前へやってきた時には、一体どれほどのサイズに見えるのだろうか。
数字を体内に取り込んだところで、何も問題はない。それは分かっているのに、僕は巨大数字の落下に恐怖を覚えた。
もう騒音と言っていいほどの数字の蠢く音と、どんどんとその姿が大きくなる数字に、僕は思わず窓を閉め部屋の隅へ逃げると、耳を塞ぎ、目を瞑った。
あんなものを体内に取り込んで本当に大丈夫なのか。僕たちのこれまでの行動は間違っていたのではないか。後悔と疑念が頭の中でぐるぐると渦巻く。
随分と長い時間、目と耳を塞いでいた僕は、部屋が振動していることに気がつき、そっと目を開けた。
恐る恐る顔を上げる。僕の目に飛び込んできたのは、窓に張り付くようにして変に潰れた数字の一部だった。それはまるで満員電車のドアに押しつけられた人のお腹のように、ベッチャリと潰れている。
数字たちが窓の外で押し合いへし合いしているのだ。
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