落ちてきた数字

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 他人よりも下に見られたくない者たちは、幼少のころから、生涯ランキング上位を目指し、有名大学付属の幼稚舎へ入り、その後エスカレーター式に小学校、中学校、高校を経て、無事ランクの高い有名大学の学歴を手にしていた。  そんな学歴社会を生き抜くためには、自身の学力と親の財力が必要だった。財力があればたとえ自身の学力が平均よりも少々低くても、Fランクの大学には進学できる。いわゆる金にものを言わせて学歴を買うことが出来るのだ。  自身の学力については、盲目的に勉強をすれば身につけることが出来たが、親の財力については自身がこの世に生まれ落ちた時から、既に大枠が決まっており、自分の力ではどうすることも出来ない。そのため、財力のない家庭の子ども達は、「親ガチャに外れた」などと自身の境遇を嘆きつつ、何とか一定水準に食らいつくためにも、学力向上を余儀なくされていた。  誰もがこんな社会はおかしいと思いつつも、それでもそれを覆すだけの力を持たず、ただただ似非(えせ)学歴社会に甘んじるしかなかった。  ある日、そんな学歴社会を覆す出来事が起きる。  空から数字が落ちてきたのだ。
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