落ちてきた数字

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 数字は何の前触れもなく突然僕たちの生活に入り込んできた。初めのうち、人々はその数字の持つ意味が分からず、なるべく接触をしないように避けて生活をしていた。  しかし、日を追うごとに空中に漂う数字の数は増していった。目の高さをまるで蝶のようにフワフワと漂う数字、2階の窓から部屋の中へ入りたそうにしている数字。屋根に上って手を伸ばさなければ届かないような場所にいる数字。人の出入りにくっついて室内へ入ってくる数字。  空から落ちてくる数字は、至る所に漂った。僕たちの生活を浸食するかのように空間を埋め尽くし、いよいよ僕らは数字を避けられなくなった。  逃げ場を失い、幾人もの人が意図せずに数字と接触をした。空中を漂っている数字に触れると、それはふっと消えてなくなった。まるで触れた者の体内にでも吸収されたかの如く綺麗にその空間から消え失せた。  数字と接触してしまった人たちは、次に自分たちに起こる変化に怯えたが、特に体調が悪くなることも、体に異常をきたすこともなく、あれほどまでに数字に対して警戒していたのは何だったのかと、拍子抜けしてしまうほどに変化はなかった。ただ一点を覗いては。
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