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数字を体内に取り込んだと思われる人々は、傍目にはそれまでと変わらないように見えていたが、接触直後から、彼らの視界の右端には小さな数字が常に映るようになっていた。
どうやらそれは接触した数字を加算して表示しているようだったが、それ以上のことは分からなかった。
視界の端に常に数字が表示されるというのは、初めのうちは鬱陶しく感じたが、慣れてしまえばどうってことはない。特に影響らしい影響がないと分かると、人々は空中に漂う数字を避けなくなった。
数字と接触をするたびに視界の端で小さな数字がその数値を伸ばしていく。数字との接触を恐れなくなった結果、そのほとんどが誰かの体内へと取り込まれ、空間を埋め尽くすほどだった数字は一掃された。その後も、数字は空から落ちてきてはいたが、人々が気にせず体内へと吸収するため、生活を侵食するほどの膨大な数字に埋め尽くされることはなくなった。
数字が漂っていることが当たり前の生活になった頃、人よりも少しだけ抜きん出た才能を見せる者たちが話題になった。彼らに共通するのは、視界の端の数値が十万を越えているという点で、研究者たちは、この点にこぞって着目した。
それは今ではスコアと呼ばれ、僕らの能力値を表すものとなった。
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