落ちてきた数字

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 その後も、研究チームはものすごいスピードで次から次へと数字についての研究成果の発表を行なった。  例えば、これまで未確認であったが数字でできた天体の確認に成功したとか。空から落ちてくる数字は、その天体から落ちてきているとか。数字は値の小さいものほど、空中の低い位置に漂っており、人に吸収されずに年月が経過していくほどにその値が大きくなり、空中の高い位置に棲息しているとか。  そんな次々と明かされる数字の生態に人々はさほど興味を示さなかったが、それでも、彼らは数字に関するどんな些細な情報でも民衆に逐一開示し続けた。  しかし、どんなに研究成果を発表しても彼らの研究は始めのうち見向きもされなかった。その理由は、明確だった。民衆は、彼らの研究チームが学歴不問で結成されていることを知っていたからだ。学歴社会において、学歴不問で作られたチームの研究発表など、見聞するに値するのかという意見が根強く残っていた。  だが、学歴社会上位者と高スコア保持者の能力差は一目瞭然であった。彼らの能力を目の当たりにしていた国は、ある時重大な決定を下した。  学歴社会の撤廃だ。
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