魔法石の顕現

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救急隊の隊員も、できればおしっこまみれの人に触りたくはないだろう。 でも、着替える力、気力がない。 びしょぬれのパンツを、トイレの床の端に置いて、這うように居間に戻って、倒れこみ毛布をかぶった。 脱水になると・・困る。 経口補水液、どっかにあったかな。 夏に、熱中症予防でカートン買いしたのがあったはず。 ああ、でも気持ち悪い、 最初ほどではないが、まだ胸も痛みがあった。 携帯は、寝室に置きっぱなしだが、取りにいく力がない。 救急車を呼ぶという気力が、すでに消失していた。 目を閉じた。 とにかく体力を温存すること。 朝になれば、SOS出せる。 親類は遠方だ。すぐには来られない。 友達とか、後輩とか・・来てくれそうな人は・・ そうだ、熱を測らなくては、コロナの問題もあるし。 発熱していれば、医療機関にかかるハードルが高くなる。 血圧も計ろう・・・ こたつの上には、体温計と血圧計がいつも置いてある。 血圧は毎朝計って、記録するのが習慣になっていた。 起き上がれるのか・・ 起き上がらなくては・・・ 決心して、決心して・・・
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