雨歌

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

雨歌

 君のことを知りたくて  雨中(うちゅう) 独り歩いた  雨粒は煌めく  瞬く信号  窓に映る 僕  君の声が聴きたくて  雨中 耳を澄ませた  雨粒は降り注ぐ  輝く空  手を広げる 僕  嗚呼    雨は降り続ける  手を広げても  僕がつかめるのはほんの一部だけ  嗚呼  雨は降り続ける  独り占めしたかった  僕が知っているのはほんの一部だけ  雨粒を(ことば)だというのなら  僕は音楽になりたい  君とふたりで  音を奏でよう  雨音を音楽だというなら  僕はいったい何?  君は笑うだけ  応えてくれよ  何かになりたくて  雨中 独り歩いた  雨粒は消えてゆく  瞳瞬く  頬を伝うのは なに?  雨歌を聴きたくて  雨中 耳を澄ませた  雨粒は流れる  輝く歌  口からこぼれる 嘘?  嗚呼  涙は零れ続ける  目を瞑っても  抑えられるのはほんの一部だけ  嗚呼  涙は零れ続ける  隠していたんだ  君が知っているのもほんの一部だけ  雨粒を(かんじょう)だというのなら  僕は全てを聴きたい  君とふたりで  話しをしよう  雨音を音楽だというのなら  君はいったい何?  僕は笑うだけ  応えられない  雨粒が詞で雨音が音楽ならば  僕の居場所は何処にもない  君はひとりで  完結している  流れる涙とともに零れた(おもい)を  僕は独りで歌うから  君がよければ  音楽を付けて  雨歌を作ろう
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!