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あめが落ちてきた。
あめ玉のほう。
階段に座ってジュースを飲もうとした瞬間に、俺の頭の上に、ばらばらって。
小さなパッケージに入ったあめ玉。
夏の夜の、まとわりつくゼリーみたいな空気が、動いた。
階段の上を振り仰いだら、君が震えてた。
君の両手の間に小さめのポテチの袋みたいなのが握られてて、銀色に震えてた。
ポテチを開けるときに間違って中身を飛び散らせちゃうみたいに、あめ玉を飛び散らせたんだなって。
それは明らか。
階段の上で塾の看板が光ってて、君はそれを背にしてたから顔はよく見えなかった。
おびえてるふうに見えた。
ハスキー犬って普通にしてるだけで怒ってるみたいに見えるんだけど。
こいつ、ハスキーの仔犬みたいだなって思った。
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