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その男子達は、わたしを上から下までジロジロと見て、その顔はあの時と変わらず厭らしく笑っている。
「久しぶりだな!
高校も遠い所にある私立行ったんだろ?」
普通に話し掛けられてしまったので、無視をするわけにいかずわたしは固まる。
男子達はどんどん近付いてきて、わたしは怖くなり創さんの左手をギュッと握り・・・
更に、左手を創さんの左腕に絡ませた。
その様子を見て、男子達の顔が酷く歪み、笑いだした。
「お前、相変わらずだな!
そうやって男を誘惑して、どうせすぐ捨てるんだろ?
中学の頃から有名だったもんな、まだそんなことしてんのかよ!」
大きな声で喋る男子に、他の男子達も笑いだした。
やめて・・・
やめて・・・
「お兄さん、すげーイケメンだしさ、そんな女相手にしなくても、他にもっと良い女沢山いるでしょ?
そいつは止めておいた方がいいですよ!」
やめて・・・
お願い・・・
創さんに、そんな話しないで・・・
悲しくて、怖くて、ショックで、わたしはギュッと固く目を閉じ、下を向く。
その時・・・
わたしの右手を、創さんがギュッと握り返してくれた・・・。
その力強さに、
その温かさに、
勇気をもらえる・・・。
わたしは、ゆっくりと目を開け、顔を上げる。
男子達を見る。
男子達もわたしを見た。
そして・・・
わたしは、笑った。
わたしの笑顔に、男子達はみんな顔を真っ赤にして狼狽えた。
「はい!じゃあ、問題ね?」
「え・・・?」
急に始まったクイズに男子達は戸惑う。
「今日のわたしのアイシャドウ、何色使ったと思う?」
「は・・・?アイシャドウ・・・?」
「そう、アイシャドウ。何色??」
「え・・・2色とか・・・?」
答えた男子に、わたしはまた笑い掛ける。
「あ、惜しい。正解は・・・」
男子達はわたしを見て固まっている。
「4色!」
わたしは両腕で創さんをギューーーッと抱き締めて、男子達に思いっきり笑い掛ける。
「女子はね、大好きな人に少しでも可愛く見てもらう為に、毎日頑張ってるんだよ?
今日のわたし、どうかな?可愛いかな?
これからわたしの両親に挨拶に行ってくれる人なの。」
そんなわたしに男子達はポカンっとし、更に顔や耳を赤くする。
最後に一言だけ言おうと口を開いた時、創さんの右手がわたしの頬を包み、クイッと創さんの方に向けられた。
「おい、こら。
俺以外の男に、そんな可愛い顔見せんじゃねーよ。」
そんな風にわたしを怒って・・・
チュッと音を立てて、わたしの唇にキスをした。
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