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何も言わない男子達と別れて、2人でしばらく無言で歩く。
「もう、大丈夫か?」
先に喋ってくれたのは創さんだった。
「手・・・。」
「え?」
「手、震えてた。」
そう言われ、その時初めて自分の手が震えていたことを知った。
「ごめんなさい・・・わたし、なんか・・・夢中で・・・。」
「うん、知ってる。」
「・・・あ!!!!」
「ん?」
「創さん!!もう!!久しぶりにキスしたのに、あんな所で!!!」
「ハハッ!悪い悪い!つい、自慢したくなって。」
創さんは楽しそうに笑って、わたしの腰に回っている手に力を入れた。
「中学時代、早川は大変だったと思うけど・・・、俺はあいつらに本当感謝してんだよ。
あいつらが早川に酷いことしてたから・・・俺は早川に選んで貰えたから。」
困った顔で笑いながら、創さんはわたしを見下ろした。
「ごめん、軽蔑した?
俺は・・・それがあったから、早川に選ばれたから・・・。
中学時代に受けた早川の心の傷も全部含めて、全部愛おしいよ。」
心の奥底、わたしが触れないようにしていた奥の奥まで、創さんの言葉が染み渡っていく。
「創さん、ありがとう・・・。」
男子達に、わたしが最後に一言だけ言いたかったこと・・・。
創さんが言った言葉と同じく、
「ありがとう。」
中学時代の男子達から受けた傷があったから、わたしは今、こうして創さんの隣にいられる。
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