13

14/23
前へ
/207ページ
次へ
何も言わない男子達と別れて、2人でしばらく無言で歩く。 「もう、大丈夫か?」 先に喋ってくれたのは創さんだった。 「手・・・。」 「え?」 「手、震えてた。」 そう言われ、その時初めて自分の手が震えていたことを知った。 「ごめんなさい・・・わたし、なんか・・・夢中で・・・。」 「うん、知ってる。」 「・・・あ!!!!」 「ん?」 「創さん!!もう!!久しぶりにキスしたのに、あんな所で!!!」 「ハハッ!悪い悪い!つい、自慢したくなって。」 創さんは楽しそうに笑って、わたしの腰に回っている手に力を入れた。 「中学時代、早川は大変だったと思うけど・・・、俺はあいつらに本当感謝してんだよ。 あいつらが早川に酷いことしてたから・・・俺は早川に選んで貰えたから。」 困った顔で笑いながら、創さんはわたしを見下ろした。 「ごめん、軽蔑した? 俺は・・・それがあったから、早川に選ばれたから・・・。 中学時代に受けた早川の心の傷も全部含めて、全部愛おしいよ。」 心の奥底、わたしが触れないようにしていた奥の奥まで、創さんの言葉が染み渡っていく。 「創さん、ありがとう・・・。」 男子達に、わたしが最後に一言だけ言いたかったこと・・・。 創さんが言った言葉と同じく、 「ありがとう。」 中学時代の男子達から受けた傷があったから、わたしは今、こうして創さんの隣にいられる。 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

642人が本棚に入れています
本棚に追加