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「え!!!??なに!?それ!!!」
わたしも知らないわたしの話で、大きな声になる。
「え?だって友里、毎日毎日、毎日毎日、なんとか先生、なんとか先生って言ってたじゃん。
ごめんね、名字なんだっけ?」
「吉岡です・・・」
「あ!そうそう!
吉岡先生、吉岡先生って、帰ってきたら吉岡先生の話ばっかりしてただろ?」
「え!?そうだった!?
お母さん、わたしそんなだった!?」
自分の知らなかった自分に驚き、お母さんに聞く。
お母さんは笑いながら缶ビールを持ってきて、お父さんと創さんの前に置いたグラスに注いでいく。
「そうねぇ・・・毎日毎日、ね。」
「うそ・・・わたし、全然知らない。」
なんだか凄くショックを受け、それと同時に一気に恥ずかしくなる。
「えぇ~・・・どうしよう、すごく恥ずかしい。」
「まあ、その時は歳上の若い先生に対する憧れなんだろうなと思ってたけどな。
3年になって試合見に行くようになったら・・・」
お父さんがビールの入ったグラスを創さんの方に近付けると、創さんもグラスを近付け2人で乾杯した。
「確かにすごく格好いい先生だし、それは憧れるのも無理ないな~と思って・・・。
でも、吉岡先生もなんかすごい友里のこと見てんな~って気付いて、ねぇ、お母さん!」
「そうねぇ、明らかに凄い見てたものね?」
お母さんは座りながら頷いた。
「なに?あの頃、秘密で付き合ってたりしたの?」
お父さんまでそんな爆弾発言をして・・・
「いえ!!それはないです!!
友里さんとは、友里さんが大学4年生になって少し経ってから再会しまして・・・。」
「へえ~、そうなんだ。
でも、気になってはいたの?」
「正直・・・そうですね、はい。」
「なんだ、それなのに我慢して、こんなに経っちゃってんの?
もっと早く来てくれればよかったのに。
まあ、そういう所も良い男だね。」
それからは、お父さんが1人でベラベラと上機嫌で話し、お酒もどんどん飲んでいた。
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