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「お母さん、今日ホワイトデーだしさ、お父さんとデートでも行こうよ! なんかこの2人見てたら、俺もお母さんとデートしたくなってきた!」 酔っ払っているお父さんが、グラスに残ってたビールを飲み干し立ち上がった。 「吉岡先生、どうする? 今日泊まってく?」 「いえ・・・明日も仕事なので。」 「ああ!そうだよね!! 俺達はこれから出掛けてくるから、ゆっくりして行ってね! 泊まってもいいからね!! お母さ~ん!この前買った俺のジャケットどこだっけ? アレ着ていく!」 お父さんはそう言って、キッチンにいたお母さんとリビングから出ていってしまった。 お父さんの足音が遠退き、わたしは創さんを見る・・・。 創さんも、わたしを見た。 2人で見詰め合って、2人でクスリと笑う。 「よかった・・・お父さんから反対されなくて。」 「それもそうだけど、お前・・・、俺のことそんなに好きだったの?」 創さんが意地悪な笑顔でわたしを見る。 「もう・・・!!意地悪言わないで~! 自分では本当に自覚がなくて、全然覚えてないです!! 部活の話はよくしてたけど、創さんの話そんなにしたかな・・・??」 恥ずかしがるわたしを、創さんはまだ意地悪な笑顔で見下ろしている。 「吉岡先生!じゃあ、俺達はこれからデート行ってくるんで!! ごゆっくり!! 本当に泊まってもいいからね!!」 リビングに新しいジャケットを羽織ったお父さんがバーーーンッと登場したと思ったら、そんなことを言ってまたバタバタと玄関に向かった。 お母さんはわたし達に手を振り、お父さんの後ろを静かについていった。 そして、玄関が閉まる音が聞こえ・・・ 家の中は、シーーーンっと静まり返る。
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