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最初は緊張していたけど、明るい学さんが盛り上げてくれて、吉岡先生が学さんや愛実にツッコミを入れたり、みんなたまにわたしに話をふってくれたり、楽しい時間になった。 「でもさ~、創一の職場とか天国だよな~! 女子高生に囲まれた職場とか男の憧れだわ~!」 「学さんと一緒にしないでよね。 創さんは女子生徒からのアタックを華麗にスルーしてたんだから。」 「やっぱ、学生時代からモテてた男は違うね~!」 愛実の言うとおりで、中には結構過激な女子もいて、本気でアプローチしている姿を見掛けたことがある。 吉岡先生はそんな女子にも上手に対応していた。 まあ、卒業するまでずっとアプローチを続けていた女子もいたけど。 「大学の時から創さんモテてたの?」 「そうそう! 創一と清司ってやつの2人がモッテモテでさ! そういえば、清司も高校で働いてるんだよ、あいつは男子バスケ部の顧問だけどな!」 「土屋とこの前飲みに行ったよ。 彼女と相変わらずラブラブで、あいつをあんな姿にする彼女すげーよな。」 「清司は高校の生徒と付き合ったんだよ!」 「え!?そうなの!? そういうの本当にあるんだね~!」 学さんの話に愛実が驚いたら、 「生徒というか、幼なじみが通ってる高校に決まって、結果的に教師と生徒になったんだけどな。 学、あいつの為にもそこまでちゃんと説明しろよな!」 “そんなこともあるんだね!少女マンガじゃん!” と、愛実と2人で盛り上がっていたら、また学さんがニヤニヤしながら吉岡先生に話し掛けた。 「でもさ~、創一もよく我慢出来るよな~! 友里ちゃんみたいな美人が生徒なんて、俺なら我慢出来ないって!」 「もう!学さんそういうの本当にやめてって! 友里いつも困ってて可哀想だから!」 愛実がフォローを入れてくれた時、吉岡先生がグビッとビールを飲み干した。 「俺は、生徒には絶対手を出さない。」 空になったジョッキを少し強めにテーブルに置いた吉岡先生は、目の前にあった枝豆をジッと見詰めていた。 その姿を真面目な顔をして見ていた学さんが、 「でもさ、友里ちゃんとかはもう卒業してるんだし、元生徒じゃん? 元生徒でもダメなの?」 と聞いた。 自分の名前が出てしまい、少し慌てて口を挟もうとしたけど、愛実が「そうだよ!」と大きな声で言いタイミングを逃してしまった。 そしたら、吉岡先生は、真正面に座るわたしのことをジッと見ながら、 「俺は、生徒には絶対手を出さない!!」 とまた宣言していた。 今日、わたしの顔を見てくれたのは2回目なことに今気付いた。 楽しい雰囲気だったから気付かなかったけど、そういえばわたしの方は見てくれていなかった。 なんだか変な雰囲気になってしまったし、やっぱりわたしは来ない方がよかったのかもしれない。
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