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この日も、一人で町を歩いていた。
腕の良い建築家がデザインしたと話題になった高層ビルの前に差し掛かると、頭上でパリンという音が聞こえた。
十階くらいの高さだろうか、何かが窓ガラスを割って外へ飛び出した音だった。窓から下を覗く、2つの人影も見えた。
飛び出したモノが落ちて来る。
陽向の数メートル手前で、雨のように降って来たガラスは、地面で細かく砕け四方に飛び散った。
そのすぐ後に、バスケットボールほどの丸いモノが地面でバウンドした。
大きく跳ね上がり陽向のほうへと落ちて来る。
柔らかそうなモノだと判断した陽向は避けることをせず、それは懐へと着地した。
フワリとした白く柔らかい毛で覆われたボールは、毛の下にある塊も柔らかく、温もりまであった。まるで動物のように。
両手の上にいるそれが、もぞもぞと動く。
一部が変形を始め、少し小さな球が盛り上がると、ひょうたんのようなシルエットが現れた。小型犬が頭を持ち上げる動作に似ていた。
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