2XXX年

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2XXX年

「ついに人類は進化した。」  その技術が発表されるや否や、世界中でパレードが沸き起こった。  何しろ生まれる前に遺伝子レベルの検査を行い、先天的な持病はもちろん、将来的に発症しうる病気や、視覚や聴覚の衰えといった老化に至る症状までを予測し、その部分をあらかじめ機械化することに成功したのだ。  これで人類はある程度不死に近づいた。  突発的な事故や殺人、自然災害など、防ぎ用のない事柄はともかく、老いや病には対抗しうる術を得たのだ。  そして機械化は生まれた赤ん坊に名前をつけるのと同程度のスタンダードな処置となり、結果的にほとんどの内科医は職を追われた。  やがて事故や自然災害への備えも機械化で対抗して然るべきではないかとの議論が起こり、人類はさらに機械化することになった。  病院は機械のメンテナンス場へと形を変え、誰も死なない地球上に人類は住む場所がなくなり、今度は海中や宇宙に住めるように機械化を始めた。
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