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令井ショウタ
「あっ!」
ショウタが、慌てて、涙を拭った。
そして、ばつが悪そうに、光に言った。
「……聞いてた?」
「うん」
光は、答えた。
ショウタは、頭を抱えた。
「うわ……。なかったことに……」
「出来ない」
光は、また、答えた。
「えーっと……」
ショウタは、言葉を探していた。
「言い訳も無駄」
光は、言い切った。
しかし、表情を緩めて、びしょ濡れのショウタに言った。
「とりあえず、着替えた方がいいよ。風邪ひいちゃう。うちのアパート、この近くだから、着替えを貸してあげる」
光と、ショウタは、光のアパートに着いた。
「クレージュアパート」という、二階建ての簡素なアパートだ。
光の部屋は、二階の端だ。
光は、ショウタを玄関に入れた。
光は、部屋からタオルを出して、ショウタに渡した。
ショウタは、それを受け取って、濡れた体を拭いたが、すぐにタオルはびしょびしょになった。
「パーカー、貸してあげる。上がって」
光は、言った。
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